密室だらけの短編集とバカ

貴志祐介『狐火の家』
『狐火の家』は『硝子のハンマー』の続編で防犯屋と弁護士コンビが活躍する推理小説
貴志祐介推理小説よりホラー・SF寄りな人だけどこの人の書いた本格もなかなかよい。
さて、『狐火の家』は4つの短編からなる短編集なわけですが、そのうちの3つは貴志さんらしいという犯人でした。
最後の1つは書き下ろしでギャグです。
トリックが一番おもしろかったのは2番目の黒い牙でしたかね。
収録されていたどの作品にも言えることですが、次々と仮説が出てきて棄却されるのは読んでいて楽しいです。
最後の「犬のみぞ知る」のオチって・・・・・・もしかしてアレなのか?

鯨統一郎『ABCDEFG殺人事件』
はい、バカミスです。
バカミスってのは個人的な見解としては、3種類あると思うんですよ。
1つめは、設定がバカ、だけどやってるトリックは意外とまじめ。
2つめは、設定はまじめ、だけどバカみたいなトリック。
3つめは、設定がバカ、トリックも(以下略

これは2つめに類するものだと思います。

子供向けなレーベルだから行間が無駄に広いのと文体も子供向けなのは仕方がないかな。
ギャグです、真面目にやってます。けどギャグです。
安楽椅子探偵です。これ自体がギャグです。
あの有名な『ABC殺人事件』をオマージュした作品かと思いきや、連作短編集。
トリックなどは残念な結果でしたが、息抜きに読める作品だとは思います。

残り56冊

next 飛鳥部勝則『堕天使拷問刑』