ボーイ・ミーツ・ガール

500p弱の二段組みハードカバーの単行本で、すごく重たそうなタイトルなのに、意外と文章は軽かったのが印象深い。
こんなに悪魔とかホラー小説に詳しい中学1年生なんかいねーよというつっこみはさておき、いいホラー小説だなと思いました。
中盤のおすすめホラー小説エッセイは作家さんの愛があふれているように思えました。
トリックは正直、予想斜め上をいくようなものでしたが、犯人の意外性といい、ミステリーとしても楽しめました。
舞台設定が素晴らしい、と思いました。現代の、田舎は田舎だけど、一応都会っぽいメインストリートはあったり、携帯電話がある時代なのにそこで今もなお受け継がれている伝統などキチガイじみててよかったし、何より閉鎖的な空間が、物理的ではなく精神的に醸し出されていたのがよかったです。
3部構成で、第2部まではちょっとだれる部分もあったけども第3部からすごくおもしろくなって、閉鎖的なコミュニティに忌み嫌われるものの血を引き継いだ者を住民たちが追い詰めて、地下空洞に行くあたりが八つ墓村ぽくって大興奮した。なんとなく正史に似ているなあとは思ったけど。
現代なのに正史の雰囲気を感じた、のですごく僕としては楽しめた。

ジョンディスクンカー+ボーイミーツガールという帯に惹かれて読みたくなったのだが、いい恋愛小説でもあった。

残り55冊

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