2008-01-01から1年間の記事一覧

今年最後の更新です。

法月綸太郎『二の悲劇』 悲劇の名にふさわしい物語でした悩むなあ。恋愛小説にしても先に読んだモリミーの夜は〜とは百八十度違うなあ 同じ京都なのに清涼院流水『ジョーカー』 今年最後に読んだ〆の作品です。 もう一言で表せますなんじゃこりゃ さて最終的に15…

最高にハイでポジティブでファンタジーな恋愛小説

今年読んだ中で一番読んでいる最中にニヤニヤしながら楽しんで読んだ本でした。 とにかく楽しい。先輩と彼女のちょっと間抜けなすれ違いとかずれた会話。 地の文が合う人と合わない人に別れると思うけど、めちゃくちゃ合ったなぁ。 今年最後に今年1,2を争う…

イワンのばかとコンプレックス話

トルストイ『イワンのばか他八篇』 寓話集です。どれも欲をかきすぎると罰が当たるぞ的な話です。 こういう小説はあんまり読んでこなかったけど、どれもまあ聞いたことはある感じ。 それがすごいけど。麻耶雄嵩『鴉』 またやらかした的な帯。でも意外とやら…

名(迷)探偵を超越した探偵、メルカトルとその相棒

アンチミステリ作品集。麻耶作品はどれもそんなんだけど。 どれもこれもアンチミステリとしては素晴らしい出来だった。麻耶作品の中では翼〜と同じくらい好き。 「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」は良い作品。エェェとしか言いようがないけど。(つーかど…

倒錯と狂気の巨匠と恥ずかしくなるくらい甘い少女漫画的ラノベ

江戸川乱歩『江戸川乱歩傑作選』 なんで今まで乱歩を読んでなかったんだろう。やばいやばい。古典作品かと思って読んだらどれも今でも通用するくらいおもしろい。 古典作品って普通そんなもんだけど。 とりあえず一作ずつ感想。 「二銭銅貨」…いい暗号物。正…

恋愛小説

読んでいるうちになんだか泣けてくる恋愛小説。大衆小説ですね。 最近読んだ恋愛小説の中でもかなり良い方。ミステリ部分バレバレだけど関係ないしね、正直。 許すのと愛するのは違うことなんだろうけど、かなこからの許しは愛情表現でしかないよな……そして…

挙動不審ひきこもり探偵登場

北山さんには珍しい、終末思想のない現代を舞台にした普通の連作短編本格推理小説でした。 「みえないダイイングメッセージ」は好きだなあ。 なんか助手がべたべたと探偵にかまいたがる姿は過去の著名な名探偵と助手のコンビを思い出します。 てか、御手洗ネ…

人でなし

西尾史上、最悪の主人公である彼の14年後の物語。 これで、彼の人となりがかなりはっきりして、ある意味で罰を受けるというか、なんというか、気付いてしまったものは仕方ないねって話。 ミステリ部分。実はやられた……と思ってしまった。少しは考えていた展…

ごった煮

更新せずに感想をため込んでいたら溜まりすぎました……こまめに書かないとなあ。法月綸太郎『パズル崩壊』 のりりんにしては珍しい感じの短編集。しらみつぶしと似たようなつくり(というかこちらが先) ロスマクの話が好きです。いいのか、あれ?小野不由美…

物理トリックの名手と子供向け?と西澤マジック

クリスティは諸々の都合上読むのを中止しました。まあ、再読だしね。北山猛邦『『ギロチン城』殺人事件』『少年検閲官』 『城』シリーズの中でも好きなほうかも。 北山さん全体に言えるけど、幻想的で終末的な世界観が好きだ。 少年〜のほうは世界観をトリッ…

中二病とウェスタン

西尾維新『クビシメロマンチスト』 再読。シリーズを終わって読み返してみると、いーちゃんはなんか酷い奴なんだけどある意味で仕方ないと思ってくる。 刺々しいよね、まだこの頃は。ジェイムズ・リーズナー『聞いてないとは言わせない』 基本的に一本道の作…

のりりんの冒険と新鋭の首切り論理とガリレオシリーズ最新作

法月綸太郎『法月綸太郎の新冒険』 前作『法月綸太郎の冒険』で図書館の利用者のプライバシーの損害についてのことをよほど気に病んでいたのか、徹底して今回は書いてました。 かわいいよ、のりりん。トリックはいつものごとく切れ味よくてよかったなあ。東…

メフィストの新星

友人曰く、コメディ純文学だそうです。僕が読んだ限りでも概ね合ってます。 とにかく淡々と物語が進み、事件の山もオチもない作品。 純文っぽい雰囲気は出ている。 けど、もっと主人公の特殊能力を効果的に使うべきだとおもうなあ。129冊目next 法月綸太郎『…

サイコキラー物サスペンスと天馬とユニコーン

セバスチャン・フィツェック『ラジオキラー』 おもしろい。良い大衆小説です。犯人側の意味不明な要求が徐々に解き明かされていくのは『前世療法』と一緒ですね。 劇場型な犯罪と主人公の鬱々とした過去が絡み合い、思わぬ真実が露見していくという流れが読…

読みやすかった

どちらも読みやすかったです。セバスチャン・フィツェック『前世療法』 主人公が鬱々しすぎているのがなんだか良かった。 そっちかあ、と騙されたりおもしろかった。 伏線が綺麗に張られている作品。伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』 伏線といえば…

傷物と偽物の物語

西尾維新『傷物語』 『化物語』の前日譚。その実は羽川へのセクハラ小説でした。 戦場ヶ原が出てないので少し物足りなかったっちゃあ物足りなかった。 羽川のスペックが高すぎる。西尾維新『偽物語上』 『化物語』の後日譚。ほぼオールキャラがそろい踏み、…

災害シミュレーション小説

三部作なんですけど、前前作の『M8』前作の『TSUNAMI』とあります。 『M8』では東京にもし大型直下型地震が来たら、というお話。 『TSUNAMI』では原発施設がある町に津波がやってきたら、というお話。 そして今作では前作の『TSUNAMI』と少し似通っています…

バラバラ死体と青春エンタ

西澤保彦『解体諸因』 おもしろい発想ばかりする作家さんだなあと思った。 本格ミステリというのはバラバラな物を一つにつなぎ合わせる作業に焦点を当てているものなわけだけど、お見それしました。 間違いなく本格です。西尾維新『ネコソギラジカル上中下』…

子供向けでないミステリーランドと4人組シリーズ

殊能将之『子どもの王様』 子供向けではないミステリーランドの一品。『神様ゲーム』には負けますけどね。 団地に住んだことはないけどなんだかノスタルジックな気分を味わいました。 大人になんかなりたくないなあ。西澤保彦『謎亭論処』 タック&タカチシ…

SF設定ミステリと零崎三天王

石持浅海『ガーディアン』 石持さんお得意のSF設定ミステリ。なんかやっぱり人間味のないヒロインを書くのが得意。 それがいいかは別にして。 特殊な設定下において人間はどう動くか、というのを書くのは石持さんの十八番。 なんか変態チックになってきた。…

酒飲み4人組

西澤保彦『麦酒の家の冒険』不可思議な出来事から事件の全体像を組み立てる安楽椅子探偵ぶりがおもしろい。 あの妄想力はすごいなあ、このシリーズの魅力の一つに推理合戦があるわけで各々の妄想を競わしているのを見るのが楽しい。西澤保彦『黒の貴婦人』時…

ミステリリーグと台所と妖怪小説

門前典之『浮遊封館』 割と期待していた作品だったけど期待ほどではなかった。 謎の大きさとかは好みなんだけど、知識に深みがないというか・・・・・・建築関係の話は生き生きしていたけど。 もっとがんばってほしい作家さんです。吉本ばなな『キッチン』 軽く読…

雪密室と不条理とミステリホラー

麻耶雄嵩『あいにくの雨で』 後述するカミュの『異邦人』もたいがい不条理だと思ったが、麻耶さんは不条理ミステリの代表者だと思った。 なんだろう、この胸にしこりが残るエンディングは。カミュ『異邦人』 動機:太陽がまぶしかったから 不条理だなあと思…

世界シリーズ

西尾維新『不気味で素朴な囲われた世界』 主人公が気持ち悪すぎ。以上。西尾維新『きみとぼくが壊した世界』 主役二人の仲良し日常の一幕。 オチはこうなるだろうというか作中で示唆されていたので特に驚きはなかったけどこういう作中作は好きだなあ。103冊…

三大奇書とミステリーランド

よくわからなかった。これが100冊目で良いのだろうか・・・・・・ということで100冊達成。8月中に達成したかったなあ。北村薫『野球の国のアリス』 野球大好きな北村さんの野球のための本。 野球好きの僕としては楽しめた。 五堂君がイケメンすぎる。101冊目next …

周到すぎるプロットに味わい深い終わり

素晴らしい作品でした。 シリーズの最初からのちりばめられていた伏線を見事回収し、一つの区切りを与えた作品です。 人間は無意識下で自分を守るための行動を起こしていて、無意識下において相手を攻撃する。 人間の業というかなんというか、深いものなんだ…

タック&タカチシリーズ

どれもこれもよかったです。西澤さんはてっきりSFミステリを書く人なんだろうなあと読んだこともないのに思っていたんですが、青春ミステリの書き手としても非常に素晴らしい人であったと思い知らされました。 シリーズとして一貫してテーマがあるのもよいで…

十五少年漂流記にもし女が一人いたら

というような内容の話です。凄まじい話です。 文明への憧憬の描写には凄まじいなあとしか言いようがない。 文明に触れないということが人から倫理観などをはぎ取っていくんだろうなあと思いました。 凄まじい作品でした。残り6冊next 西澤保彦『彼女が死んだ…

オペラ入門書と日常の謎の傑作

深水黎一郎『トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ』 オペラを全く知らない人にも理解しやすいように書かれているのでオペラに興味がない人でもオペラを見たくなる作品です。 このシリーズの探偵は芸術探偵というべきか。是非シリーズ化して欲しい。 ミステ…

病んでる

銘探偵メルカトル鮎が好きなのでそこそこ出てきてくれて嬉しかった。 烏有君、迷走するの巻。 これはシリーズ物としてネタバレが含まれているので気をつけたほうがいいです。 なんというかバナナですべってっていうくだりはあり得なさすぎて笑った。 翼〜を…