2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

周到すぎるプロットに味わい深い終わり

素晴らしい作品でした。 シリーズの最初からのちりばめられていた伏線を見事回収し、一つの区切りを与えた作品です。 人間は無意識下で自分を守るための行動を起こしていて、無意識下において相手を攻撃する。 人間の業というかなんというか、深いものなんだ…

タック&タカチシリーズ

どれもこれもよかったです。西澤さんはてっきりSFミステリを書く人なんだろうなあと読んだこともないのに思っていたんですが、青春ミステリの書き手としても非常に素晴らしい人であったと思い知らされました。 シリーズとして一貫してテーマがあるのもよいで…

十五少年漂流記にもし女が一人いたら

というような内容の話です。凄まじい話です。 文明への憧憬の描写には凄まじいなあとしか言いようがない。 文明に触れないということが人から倫理観などをはぎ取っていくんだろうなあと思いました。 凄まじい作品でした。残り6冊next 西澤保彦『彼女が死んだ…

オペラ入門書と日常の謎の傑作

深水黎一郎『トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ』 オペラを全く知らない人にも理解しやすいように書かれているのでオペラに興味がない人でもオペラを見たくなる作品です。 このシリーズの探偵は芸術探偵というべきか。是非シリーズ化して欲しい。 ミステ…

病んでる

銘探偵メルカトル鮎が好きなのでそこそこ出てきてくれて嬉しかった。 烏有君、迷走するの巻。 これはシリーズ物としてネタバレが含まれているので気をつけたほうがいいです。 なんというかバナナですべってっていうくだりはあり得なさすぎて笑った。 翼〜を…

エロス

官能小説ばりの描写は人を選ぶ気がする。読んだことないけど、官能小説。 倒叙物。間違いなく、『扉は閉ざされたまま』『君が望む死に方』の流れを引き継いでいる。 狂った人間ばっかりの、石持さんっぽいなあという作品。 その中でロジックを成立させている…

死の直前の比類のない神々しいような瞬間

古典名作。トリックの一部一部が他のミステリで見たことがあったりしたがそれでこの作品の評価が落ちるわけでもない。 流用されるほど愛されている作品の証明だなと思う。 死の直前の比類のない神々しいような瞬間は有栖川氏の短編作品にも使われていて、ダ…

トンネルを抜けるとSF世界だった

川端康成『雪国』 古典純文学。ぶっちゃけて言えばヒロイン萌のための作品のような(以下略) いや、でもおもしろかったです。雪国に住んだことがないので『雪国』のような世界は僕にとってファンタジーです。残り14冊殊能将之『キマイラの新しい城』 最高。…