名(迷)探偵を超越した探偵、メルカトルとその相棒
アンチミステリ作品集。麻耶作品はどれもそんなんだけど。
どれもこれもアンチミステリとしては素晴らしい出来だった。麻耶作品の中では翼〜と同じくらい好き。
「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」は良い作品。エェェとしか言いようがないけど。(つーかどれもそんなもん)
しかしこんなに殺伐とした雰囲気を醸し出す探偵助手コンビはこの二人だけでしょうね(笑)
美袋は怒っていい資格があるんだ。
153冊
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倒錯と狂気の巨匠と恥ずかしくなるくらい甘い少女漫画的ラノベ
江戸川乱歩『江戸川乱歩傑作選』
なんで今まで乱歩を読んでなかったんだろう。やばいやばい。古典作品かと思って読んだらどれも今でも通用するくらいおもしろい。
古典作品って普通そんなもんだけど。
とりあえず一作ずつ感想。
「二銭銅貨」…いい暗号物。正史の本陣にしてもそうだけど、西洋ミステリしかなかった時代で日本のミステリとして書けたのが凄い。
「二癈人」…ミステリとしてより人間の恐ろしさの方が印象深い
「D坂の殺人事件」…明智初登場。ダミートリックは割とエェェな感じ。動機が素晴らしいよなあ。
「心理試験」…これこそ乱歩の骨頂とでもいうべき作品。心理トリックが素晴らしい。
「赤い部屋」…これと後述の「人間椅子」が今作品集でフェイバリット。どちらにも言えることが嘘なのか本当なのかわからないとこってのが怖い。
「屋根裏の散歩者」…これも心理トリックがいいよなあ。屋根裏を徘徊するという背徳感がなんともいえない。
「人間椅子」…いい。最高に怖い。そして嘘なのか本当なのか、読者にはわからないのが良い。
「鏡地獄」…マジで中身が気になる。
「芋虫」…エログロ。最後の結びが素晴らしい。
有川浩『図書館革命』
読んでて恥ずかしい。デートシーンとか。
いいぞ、もっとやれ! って感じですけど。
しかし甘いなあ、と思うのはテレビ局があんなことやるわけが(以下略)
別冊読みたいなぁ……
152冊
next 麻耶雄高『メルカトルと美袋のための殺人』
人でなし
西尾史上、最悪の主人公である彼の14年後の物語。
これで、彼の人となりがかなりはっきりして、ある意味で罰を受けるというか、なんというか、気付いてしまったものは仕方ないねって話。
ミステリ部分。実はやられた……と思ってしまった。少しは考えていた展開に似ていたけど、そこまで気が回らなかったなあ……
ちょっと悔しい(笑)
最後の後書きで、来年に出る『ぼくの世界』で世界シリーズは終わりを迎えるということが判明し、くろね子さんの中学時代の話になるそうですが、今回も彼の中学3年生の話を書くと宣言していたのに、実際には大人になった姿を描いたので、『ぼくの世界』でもくろね子さんの大人になった姿が見られるかもね、わかんないけど。
しかし、西尾は見事に脱中二病しちゃったな。
148冊目
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ごった煮
更新せずに感想をため込んでいたら溜まりすぎました……こまめに書かないとなあ。
法月綸太郎『パズル崩壊』
のりりんにしては珍しい感じの短編集。しらみつぶしと似たようなつくり(というかこちらが先)
ロスマクの話が好きです。いいのか、あれ?
小野不由美『くらのかみ』
ミステリ畑の人ではない人のミステリ。いや、田舎の情景が素晴らしいなあ。
これ、たしか『ギロチン城』殺人事件と同じ時期に読んで、またスクエアか、と思った。
論理的ですよねー、女性作家でここまで論理的に書ける人って珍しいような(そもそも少ないからな)
黒田研二『クレイジークレイマー』
予想外DESU。クロケンさんらしいっちゃあらしいけど。
アゴタ・クリストフ『第三の嘘』
『悪童日記』『二人の証拠』に次ぐ作品で3部作のラストらしいですが、前述の作品は読んでません(えー)
とにかく、事実を確定させる記述がまるでない、曖昧なことを書き、読者を翻弄させる作品でした。
どちらがどちらかってのもわかってないしね……
たまにはこういう作品も良いんじゃないかと思いました。
歌野晶午『ジェシカが駆け抜けた七年間について』
やられた。わからないよ、あれは。
社会派でもあり本格派の歌野さんですが、今回もそんな感じ。
普通におもしろいですよ。
村上春樹『ノルウェイの森』
おお、超有名処。なんかハルキらしさを楽しむための作品って感じでした。
好きです、割と。限りない喪失と再生を描くとか帯には書いてたけど、どう読んでも、喪失と代替品での埋め合わせです。
再生してねぇ……
147冊目
next 西尾維新『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』
物理トリックの名手と子供向け?と西澤マジック
クリスティは諸々の都合上読むのを中止しました。まあ、再読だしね。
北山猛邦『『ギロチン城』殺人事件』『少年検閲官』
『城』シリーズの中でも好きなほうかも。
北山さん全体に言えるけど、幻想的で終末的な世界観が好きだ。
少年〜のほうは世界観をトリックに使ったのがよかった。予想外だ。
はやみねかおる『そして五人がいなくなる』
子供向け?なのか。
大人でも楽しめるよな、なんだか遊園地で騒いでいるのがノスタルジックに感じた。
西澤保彦『神のロジック・人のマジック』『腕抜探偵』
神の〜の方はですね、後輩にとある作品と似ているってことを指摘されてトリックわかっちゃったけど、それでもやはりそのトリックの姿勢がこちらの方が潔いなあとは思いました。
でも、某似ているトリックの作品の方が伏線はりまくっててるけどね。
腕抜〜の方はいい短編集です。この人の短編集好きだなあ。割とブラックなのも○。
140冊目
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