2008-01-01から1年間の記事一覧

エロス

官能小説ばりの描写は人を選ぶ気がする。読んだことないけど、官能小説。 倒叙物。間違いなく、『扉は閉ざされたまま』『君が望む死に方』の流れを引き継いでいる。 狂った人間ばっかりの、石持さんっぽいなあという作品。 その中でロジックを成立させている…

死の直前の比類のない神々しいような瞬間

古典名作。トリックの一部一部が他のミステリで見たことがあったりしたがそれでこの作品の評価が落ちるわけでもない。 流用されるほど愛されている作品の証明だなと思う。 死の直前の比類のない神々しいような瞬間は有栖川氏の短編作品にも使われていて、ダ…

トンネルを抜けるとSF世界だった

川端康成『雪国』 古典純文学。ぶっちゃけて言えばヒロイン萌のための作品のような(以下略) いや、でもおもしろかったです。雪国に住んだことがないので『雪国』のような世界は僕にとってファンタジーです。残り14冊殊能将之『キマイラの新しい城』 最高。…

大学生の生態

文章が読みやすい。ていうかすごい特徴的なのに読みやすい。 読んでる最中は主人公がずっと知り合いの先輩に似ているなあとか思いながら読んでいた。 なんていうか、イイ。残り15冊next 川端康成『雪国』

倒叙の名作とごった煮と珠玉のホラー

リチャード・ハル『叔母殺人事件』 海外古典名作。倒叙もののなかでも有名な作品。 倒叙ものを逆手に取った名作であるなあ。 独特な言い回しが翻訳ものたる所以というか……残り18冊法月綸太郎『しらみつぶしの時計』 本格から奇妙な味まで。ノンシリーズの短…

本格バカミスとタイトル

霞流一『首断ち六地蔵』 ぽんぽんと出される仮説、そしてそれらが即座に棄却される・・・・・・まさに本格というべき作品です。 あいかわらずトリックはアレな感じですが、だがそこがいいし、最後にきちんと収束されます。 よくこうも見立てられるなあと思ったり。…

本格

本格ミステリでした。いつものごとくキャラクタが壊れているのは言うまでもなく。 そしていつものごとく主人公が気持ち悪かったです。 エンタメ作品なんだけど本格分の方が強い気がした。 さてさて次はどうなることか。残り21冊next 霞流一『首断ち六地蔵』

テンプレ

横溝正史『迷路荘の惨劇』 横溝作品のテンプレ的な作品。テンプレートな犯人、テンプレートな展開、テンプレートな動機。 久々に横溝を読んだので懐かしい気分に浸れました。残り24冊殊能将之『鏡の中は日曜日』『樒/榁』 文庫で読んだので同時収録。 前作…

苦悩3部作の終幕

いわゆるクイーン問題に深くつっこんだ作品でした。 前作『頼子のために』で深く傷ついた綸太郎が立ち直るきっかけを与えた事件でした。 苦悩しまくる綸太郎が見ていて楽しく、かつ本格を読んでいるものとして一度はぶち当たってしまう壁に考えさせられます…

葉桜、イニシエーション・ラブに続く作品

らしいです。 しかし、その挙げられた2作品とは結構方向性が違う気がしますが。 現実感のない作品だなあ。アンチミステリの範疇に入る作品だとは思いますが。 ペダントリ系かと見せて意外と本筋に絡んでいたりするのが意外。残り26冊next 法月綸太郎『ふた…

時間旅行というSFテーマを用いた切ない話

再読。 宮部作品を久々に読み返してみたらおもしろいこと。 この作品の肝となっている時間旅行というSFでも多く書かれているテーマが印象的でした。 歴史が先か、人が先か。 この作品における時間のとらえ方は、結構初めて見たような考え方ではあったんです…

ミステリホラーと友だちを見つけるきみの物語

ミステリホラーと銘打ってるけど、あんまり怖くなかった・・・・・・ ミステリ部分はな、なんだってーー的なこじつけであんまり評価できないかな・・・・・・ 設定が視覚に頼る部分が大きいので漫画とかにするとおもしろそうではある。残り29冊重松清『きみの友だち』 再…

趣味=仕事の一品。これはひどい。

素晴らしいほど作者の趣味が爆発した作品。 異常なほどの会話のテンポの良さとところどころはさまれるパロディやギャグに何回吹いたことか。 キャラクターがみんな立ちすぎている。蕩れ〜、とでも言っておくべきか。 何より忍野がおいしすぎるキャラクター。…

火村シリーズ短編集

普通におもしろかった。表題作より他三作の方が好みだったかなあ。 本格ミステリにおいて双子の入れ替えトリックとダイイングメッセージの必然性は永遠のテーマだなあ。 有栖川さんはよくそのふたつを書いているけど、まだまだ書き続けるだろう。残り33冊next…

色々

古処誠二『UNKNOWN』 良作。メフィスト賞にしてはまともな作品(褒め言葉なのか?) うまく、自衛隊の現状とかを取り上げて、憎まれ役である自衛隊の内部を詳細に描いている。 とある震災で被災したことがある僕としては、自衛隊はいい人たちってイメージな…

ハラキリ、サドー、ニンジャ、フジヤマ

山口雅也『日本殺人事件』 解説の宮部さんが言っていた野球で例えるなら剛速球投手、ただし球場の形を変化させるみたいな!(なぜか巫女子) まさしくその通りだよなあ、前提条件を変えているけど、本質的には本格だ。 山口さんの作品は結構テーマ設定がなさ…

色々なジャンルのミステリが詰まった短編集

7つのテーマに分けられた短編集。それぞれ密室、倒叙、安楽椅子探偵、バカミス、????、SF、日常に分かれている。 実はこれまで小林泰三が書いてきた作品の登場人物が出てくる。『密室・殺人』のネタバレが微妙に入ってるかも。 一番気に入ったのはもち…

密室と殺人と恋愛と物語

小林泰三『密室・殺人』 密室殺人ではなく、密室・殺人。要するに密室と殺人な訳だ。 まあ、ひねくれてる作品だ。事件そのものより探偵に関する謎の方が気になった。 ようするにひねくれている作品だ。舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる』 書き出しの部…

今なら教祖になれる気がする

手品と奇跡の違いはタネがあるかないかの違いです。 素晴らしいタネでした。すごい作品だなあ……残り44冊next 小林泰三『密室・殺人』

芸術×本格推理のクロスオーバー

おもしろかった。今年度の本格物の中でもかなりいいとこいくんじゃないんでしょうか? 芸術を主のテ−マとして、ミステリーと絡ませる試みは麻耶先生の『夏と冬の奏鳴曲』を思い出します。 まあ、本作品の方がわかりやすかったですが(キュビズムを主とした『…

ユーモアミステリー

文庫で読みましたが、いっこく堂と我孫子さんの対談が載ってて笑った。 作品に関しては、安心して読めるシリーズだなあ、と。 朝永と妹尾の恋愛の方がメインだからミステリ部分よりそっちの方が気になるからか。 サクサク読めました。残り46冊next 深水黎一…

単純娯楽作品の極み

伊坂作品の特徴として、用意周到な伏線が張られていることが挙げられるが、『ゴールデンスランバー』はその最たる例の作品だろう。 伏線とそれの回収だけでできているんじゃないか、と思わせるぐらい無駄がなく、スマートにできあがっている。 そして、単純…

報復絶倒のスラプスティックミステリ、永遠の恋

法月綸太郎『ノーカット版 密閉教室』 再読。カット版の方を2年前ぐらいに1回読み、どんでん返しの魅力に気づかせてくれた作品。 あの頃と今では、今の方がミステリーに関する知識は多少増えたから、法月さんが仕掛けたオマージュ部分に気づくことができた…

17歳でデビューした作者のデビュー作

16歳で執筆し、17歳の時に発表。今の自分よりも若いのに、なぜこんなにも文才があるのだろうか。 ここまで書ける高校生ってすごいなあ。(年代は違えども)他の高校生でデビューしたという作家の作品と比べても抜きんでている。 なにより、物語の締めくくり…

裁判員制度を用いた初めての本格ミステリ小説

裁判員制度。まあ、将来国民の誰かに降りかかってくるもの。 そういった制度に興味を持ち始めた人もそうでない人も読んでおもしろい作品だと思う。 まず、法廷ミステリの派生系である今作品では、推理の判断として法廷に差し出された証拠しか使ってはいけな…

ハードSF

SF特有の固有名詞の多さには辟易したけど、思ったより読みやすかったしおもしろかった。 真相のスケールの大きさは驚くしかない。 そして何より作者の学問の多角っぷりに一番驚嘆した。 何にでも精通してるなあ・・・・・・残り52冊next 芦辺拓『裁判員法廷』

国名シリーズ

有栖川氏の国名シリーズにおいても、なかなかよくできた作品だったと思います。 表題作の「モロッコ水晶の謎」はよくできた本格だったし、推理合戦も小ネタだろうけども、おもしろかったし。 国名シリーズはこれでマレー以外は読んだことになるのですが、今…

誰の時計か

至極まっとうな本格ミステリ。特に表題作の「スイス時計の謎」は久々に楽しめた本格中編だった。 作家アリスの意外な過去が明らかになる意味でも楽しかった。 つっこみようがない作品だなあ。矛盾がなくて。 安定して読める作家だ。残り54冊next 有栖川有栖…

ボーイ・ミーツ・ガール

500p弱の二段組みハードカバーの単行本で、すごく重たそうなタイトルなのに、意外と文章は軽かったのが印象深い。 こんなに悪魔とかホラー小説に詳しい中学1年生なんかいねーよというつっこみはさておき、いいホラー小説だなと思いました。 中盤のおすすめホ…

密室だらけの短編集とバカ

貴志祐介『狐火の家』 『狐火の家』は『硝子のハンマー』の続編で防犯屋と弁護士コンビが活躍する推理小説。 貴志祐介は推理小説よりホラー・SF寄りな人だけどこの人の書いた本格もなかなかよい。 さて、『狐火の家』は4つの短編からなる短編集なわけですが…