SF設定ミステリと零崎三天王

石持浅海『ガーディアン』 石持さんお得意のSF設定ミステリ。なんかやっぱり人間味のないヒロインを書くのが得意。 それがいいかは別にして。 特殊な設定下において人間はどう動くか、というのを書くのは石持さんの十八番。 なんか変態チックになってきた。…

酒飲み4人組

西澤保彦『麦酒の家の冒険』不可思議な出来事から事件の全体像を組み立てる安楽椅子探偵ぶりがおもしろい。 あの妄想力はすごいなあ、このシリーズの魅力の一つに推理合戦があるわけで各々の妄想を競わしているのを見るのが楽しい。西澤保彦『黒の貴婦人』時…

ミステリリーグと台所と妖怪小説

門前典之『浮遊封館』 割と期待していた作品だったけど期待ほどではなかった。 謎の大きさとかは好みなんだけど、知識に深みがないというか・・・・・・建築関係の話は生き生きしていたけど。 もっとがんばってほしい作家さんです。吉本ばなな『キッチン』 軽く読…

雪密室と不条理とミステリホラー

麻耶雄嵩『あいにくの雨で』 後述するカミュの『異邦人』もたいがい不条理だと思ったが、麻耶さんは不条理ミステリの代表者だと思った。 なんだろう、この胸にしこりが残るエンディングは。カミュ『異邦人』 動機:太陽がまぶしかったから 不条理だなあと思…

世界シリーズ

西尾維新『不気味で素朴な囲われた世界』 主人公が気持ち悪すぎ。以上。西尾維新『きみとぼくが壊した世界』 主役二人の仲良し日常の一幕。 オチはこうなるだろうというか作中で示唆されていたので特に驚きはなかったけどこういう作中作は好きだなあ。103冊…

三大奇書とミステリーランド

よくわからなかった。これが100冊目で良いのだろうか・・・・・・ということで100冊達成。8月中に達成したかったなあ。北村薫『野球の国のアリス』 野球大好きな北村さんの野球のための本。 野球好きの僕としては楽しめた。 五堂君がイケメンすぎる。101冊目next …

周到すぎるプロットに味わい深い終わり

素晴らしい作品でした。 シリーズの最初からのちりばめられていた伏線を見事回収し、一つの区切りを与えた作品です。 人間は無意識下で自分を守るための行動を起こしていて、無意識下において相手を攻撃する。 人間の業というかなんというか、深いものなんだ…

タック&タカチシリーズ

どれもこれもよかったです。西澤さんはてっきりSFミステリを書く人なんだろうなあと読んだこともないのに思っていたんですが、青春ミステリの書き手としても非常に素晴らしい人であったと思い知らされました。 シリーズとして一貫してテーマがあるのもよいで…

十五少年漂流記にもし女が一人いたら

というような内容の話です。凄まじい話です。 文明への憧憬の描写には凄まじいなあとしか言いようがない。 文明に触れないということが人から倫理観などをはぎ取っていくんだろうなあと思いました。 凄まじい作品でした。残り6冊next 西澤保彦『彼女が死んだ…

オペラ入門書と日常の謎の傑作

深水黎一郎『トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ』 オペラを全く知らない人にも理解しやすいように書かれているのでオペラに興味がない人でもオペラを見たくなる作品です。 このシリーズの探偵は芸術探偵というべきか。是非シリーズ化して欲しい。 ミステ…

病んでる

銘探偵メルカトル鮎が好きなのでそこそこ出てきてくれて嬉しかった。 烏有君、迷走するの巻。 これはシリーズ物としてネタバレが含まれているので気をつけたほうがいいです。 なんというかバナナですべってっていうくだりはあり得なさすぎて笑った。 翼〜を…

エロス

官能小説ばりの描写は人を選ぶ気がする。読んだことないけど、官能小説。 倒叙物。間違いなく、『扉は閉ざされたまま』『君が望む死に方』の流れを引き継いでいる。 狂った人間ばっかりの、石持さんっぽいなあという作品。 その中でロジックを成立させている…

死の直前の比類のない神々しいような瞬間

古典名作。トリックの一部一部が他のミステリで見たことがあったりしたがそれでこの作品の評価が落ちるわけでもない。 流用されるほど愛されている作品の証明だなと思う。 死の直前の比類のない神々しいような瞬間は有栖川氏の短編作品にも使われていて、ダ…

トンネルを抜けるとSF世界だった

川端康成『雪国』 古典純文学。ぶっちゃけて言えばヒロイン萌のための作品のような(以下略) いや、でもおもしろかったです。雪国に住んだことがないので『雪国』のような世界は僕にとってファンタジーです。残り14冊殊能将之『キマイラの新しい城』 最高。…

大学生の生態

文章が読みやすい。ていうかすごい特徴的なのに読みやすい。 読んでる最中は主人公がずっと知り合いの先輩に似ているなあとか思いながら読んでいた。 なんていうか、イイ。残り15冊next 川端康成『雪国』

倒叙の名作とごった煮と珠玉のホラー

リチャード・ハル『叔母殺人事件』 海外古典名作。倒叙もののなかでも有名な作品。 倒叙ものを逆手に取った名作であるなあ。 独特な言い回しが翻訳ものたる所以というか……残り18冊法月綸太郎『しらみつぶしの時計』 本格から奇妙な味まで。ノンシリーズの短…

本格バカミスとタイトル

霞流一『首断ち六地蔵』 ぽんぽんと出される仮説、そしてそれらが即座に棄却される・・・・・・まさに本格というべき作品です。 あいかわらずトリックはアレな感じですが、だがそこがいいし、最後にきちんと収束されます。 よくこうも見立てられるなあと思ったり。…

本格

本格ミステリでした。いつものごとくキャラクタが壊れているのは言うまでもなく。 そしていつものごとく主人公が気持ち悪かったです。 エンタメ作品なんだけど本格分の方が強い気がした。 さてさて次はどうなることか。残り21冊next 霞流一『首断ち六地蔵』

テンプレ

横溝正史『迷路荘の惨劇』 横溝作品のテンプレ的な作品。テンプレートな犯人、テンプレートな展開、テンプレートな動機。 久々に横溝を読んだので懐かしい気分に浸れました。残り24冊殊能将之『鏡の中は日曜日』『樒/榁』 文庫で読んだので同時収録。 前作…

苦悩3部作の終幕

いわゆるクイーン問題に深くつっこんだ作品でした。 前作『頼子のために』で深く傷ついた綸太郎が立ち直るきっかけを与えた事件でした。 苦悩しまくる綸太郎が見ていて楽しく、かつ本格を読んでいるものとして一度はぶち当たってしまう壁に考えさせられます…

葉桜、イニシエーション・ラブに続く作品

らしいです。 しかし、その挙げられた2作品とは結構方向性が違う気がしますが。 現実感のない作品だなあ。アンチミステリの範疇に入る作品だとは思いますが。 ペダントリ系かと見せて意外と本筋に絡んでいたりするのが意外。残り26冊next 法月綸太郎『ふた…

時間旅行というSFテーマを用いた切ない話

再読。 宮部作品を久々に読み返してみたらおもしろいこと。 この作品の肝となっている時間旅行というSFでも多く書かれているテーマが印象的でした。 歴史が先か、人が先か。 この作品における時間のとらえ方は、結構初めて見たような考え方ではあったんです…

ミステリホラーと友だちを見つけるきみの物語

ミステリホラーと銘打ってるけど、あんまり怖くなかった・・・・・・ ミステリ部分はな、なんだってーー的なこじつけであんまり評価できないかな・・・・・・ 設定が視覚に頼る部分が大きいので漫画とかにするとおもしろそうではある。残り29冊重松清『きみの友だち』 再…

趣味=仕事の一品。これはひどい。

素晴らしいほど作者の趣味が爆発した作品。 異常なほどの会話のテンポの良さとところどころはさまれるパロディやギャグに何回吹いたことか。 キャラクターがみんな立ちすぎている。蕩れ〜、とでも言っておくべきか。 何より忍野がおいしすぎるキャラクター。…

火村シリーズ短編集

普通におもしろかった。表題作より他三作の方が好みだったかなあ。 本格ミステリにおいて双子の入れ替えトリックとダイイングメッセージの必然性は永遠のテーマだなあ。 有栖川さんはよくそのふたつを書いているけど、まだまだ書き続けるだろう。残り33冊next…

色々

古処誠二『UNKNOWN』 良作。メフィスト賞にしてはまともな作品(褒め言葉なのか?) うまく、自衛隊の現状とかを取り上げて、憎まれ役である自衛隊の内部を詳細に描いている。 とある震災で被災したことがある僕としては、自衛隊はいい人たちってイメージな…

ハラキリ、サドー、ニンジャ、フジヤマ

山口雅也『日本殺人事件』 解説の宮部さんが言っていた野球で例えるなら剛速球投手、ただし球場の形を変化させるみたいな!(なぜか巫女子) まさしくその通りだよなあ、前提条件を変えているけど、本質的には本格だ。 山口さんの作品は結構テーマ設定がなさ…

色々なジャンルのミステリが詰まった短編集

7つのテーマに分けられた短編集。それぞれ密室、倒叙、安楽椅子探偵、バカミス、????、SF、日常に分かれている。 実はこれまで小林泰三が書いてきた作品の登場人物が出てくる。『密室・殺人』のネタバレが微妙に入ってるかも。 一番気に入ったのはもち…

密室と殺人と恋愛と物語

小林泰三『密室・殺人』 密室殺人ではなく、密室・殺人。要するに密室と殺人な訳だ。 まあ、ひねくれてる作品だ。事件そのものより探偵に関する謎の方が気になった。 ようするにひねくれている作品だ。舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる』 書き出しの部…

今なら教祖になれる気がする

手品と奇跡の違いはタネがあるかないかの違いです。 素晴らしいタネでした。すごい作品だなあ……残り44冊next 小林泰三『密室・殺人』